見せ掛け
2000年3月 公開
思わせぶりなキーワードを並べ立て、さも何ごとか
深い思索に基づいているかのごとく見せ掛けるのは易い。
しかし、借りてきたお題目や通り一遍の警句に
心を動かされるのは、現実を生きていない者だけだ。
創作の要は日々の暮らしの中にある。
創作を志すということは、常に人と向き合って
生きるということであり、人間に対する深い洞察なくして、
人の心に響く作品を生み出すことはできない。
喜びを共有し、悲しみを共有し、
限られた時間をより価値のあるものにするために、
人は言葉を紡いでいくのである。
生きることは死ぬまでの暇つぶしではない。
人生の貴重な一分一秒を費やすに足る作品を作りたいと、
またそういう作品に出会いたいと切に願う。

菊田裕樹(Hiroki Kikuta) 1962年愛知県生。関西大学文学部哲学卒。漫画家を経て1991年にコンシューマゲーム開発会社であるスクウェアに入社。ゲーム音楽の作曲家として、「聖剣伝説2」「聖剣伝説3」「双界儀」などの制作に携わる。1997年株式会社サクノスを立ち上げ独立、ホラーRPG「クーデルカ」を制作。以後、フリーに。ゲームプロデューサー、ディレクター、シナリオライター、オンラインゲーム設計など、経歴多数。現在は再びゲーム音楽のフィールドを中心に仕事をする毎日。最近作は2010年末にセガより発売されたPSP向けRPG「シャイニング・ハーツ」。