間違いなく危機でしょう
2000年3月 公開
これは間違い無く危機。
ゲームを取り巻く状況全体が、そう指し示している。
元来、小規模の資本で参入することが可能で、
センスと戦略次第で、大きな利益を生むことが可能だった
この真新しいメディアは、今、分岐点とでもいうべき
ポイントに差し掛かりつつある。
今、どこに行っても叫ばれるのは不況の二文字。
絶えてゲーム業界では聞かれなかった言葉である。
しかし現実問題として、倒産や和議申請など、
経営が立ち行かなくなった会社が目立つようになってきた。
巷で話題なのは当然PS2。
しかし、中小の制作会社は、これに参入出来ないでいる。
そればかりか、ゲーム部門を縮小し、
今後はゲームボーイのみに注力するケースや、
そのものを廃止して撤退してしまうケースが多い。
金が無い、というよりは、今までなおざりに
されてきた問題が、不況になって
浮き上がってきてしまっただけか。
見渡してみても、PS2に対して安定したソフト開発が
出来そうな制作会社は数えるほどしかないことに気付く。
ナムコ・スクウェア・コーエー・コナミ・エニックス
・カプコンなど、全て大手で体力のある処だけ。
どこも、主力は既存ジャンルの模倣か
従来タイトルの続編である。
ソニー自身に安定した開発力が無いことを
考えあわせると、どうやってPS2に相応しい
キラーソフトを生み出していくのか、想像がつかない。
もちろん、タイトルを乱発することが
良いとも言わないが、未知の可能性を持った作品が
世に出ていかないようでは、
メディアの発展もなにもありはしない。
そういったソフトハウスの育成という部分を、
本気でソニーが担うのか、というと「ゲームやろうぜ」の
その後を見る限り、あまり当てに出来ない気もする。
確かにPS2は素晴らしいマシンで、
そこには大きな魅力を感じるのだが、
ソフトが無ければただの箱であることに変わりはない。
せっかく日本発信のコンテンツが世界に
認められるチャンスなのに、
これでは昔の円谷特撮みたいなもので、
ものの5年もしたら、すっかりハリウッドや
ヨーロッパの連中に先を越されてしまいかねない。
これはもう、間違い無く危機なのである。

菊田裕樹(Hiroki Kikuta) 1962年愛知県生。関西大学文学部哲学卒。漫画家を経て1991年にコンシューマゲーム開発会社であるスクウェアに入社。ゲーム音楽の作曲家として、「聖剣伝説2」「聖剣伝説3」「双界儀」などの制作に携わる。1997年株式会社サクノスを立ち上げ独立、ホラーRPG「クーデルカ」を制作。以後、フリーに。ゲームプロデューサー、ディレクター、シナリオライター、オンラインゲーム設計など、経歴多数。現在は再びゲーム音楽のフィールドを中心に仕事をする毎日。最近作は2010年末にセガより発売されたPSP向けRPG「シャイニング・ハーツ」。