Library : 作曲ソフトウェア遍歴

作曲ソフトウェア遍歴

2000年5月 公開

作曲用ソフトウェアとしてNotatorを愛用している。
それ以前はYAMAHA SY-77の内蔵シーケンサー
(QY-3同等)を使って、16トラックで外部機器の
コントロールを含めて全てを賄っていたのだが、
如何せんSY-77には、同時発音が重なると、そこだけ
タイミングが遅れるという欠点があった。
その遅れも、ちょっとやそっとではなく、結果として
リズムにノリが生まれてしまう程のもので、
決して嫌いではなかったのだが、
計算通りに曲が出来上がらないのには困った。
その後、アニメーションの劇伴の仕事を引き受けた時に、
初めてフルオーケストラ用の総符を書くという必要性から、
実用に耐えるスコア入出力の出来る唯一の
シーケンサーソフトとして、Notatorを購入したのである。
ハードウェアはなんとATARIコンピュータで
OSも独自のものであった。これが、今考えても
大変に良く出来たシステムで、CPUの処理が遅いことを
除けば最高に使いやすく、安定した作曲環境だった。
ATARI版Notatorの最大の特徴は、ほとんど全ての操作が
12インチモニター2画面分に収まるという画期的な視認性と
操作性の良さで、他のソフトがいちいち
ウィンドウを開かなければデータのある場所に
辿り着けないことを考えると、遥かに効率の良い
エディットが可能だった。
目の前に見えている数字をただ掴んでドラッグするだけで、
どんどん曲を変えていけるのだから気持ちがいい。
後に、2週間でCD一枚分のデータを完成させねばならなかった
「Secret of Mana+」(聖剣伝説2アレンジバージョン)の
時にも、限られた時間を有効に活用する上で大変役に立った。
さて、「聖剣伝説2」のオリジナルサウンドトラックは、
データの取り回しのこともあって、Macintosh版Cubaseで
制作したのだが、わかりやすいピアノロール入力と、
簡便な曲構成エディットは当時としては特筆に価するものだ。
だから「聖剣伝説3」を作曲するにあたって、
緻密なスコア入出力とピアノロール入力の両方を兼ね備えた
Macintosh版Notator Logicがリリースされると、
すぐさま購入した。
残念ながらコンパクトにまとまっていたATARI版の
長所は失われていたが、代わりに、リアルタイムに
内容が反映されるマルチウィンドウ表示という、
新しい武器を装備していた。このおかげで
Cubase時代よりも随分と作業の効率が上がったが、
それが最も有効に働いたのは「クーデルカ」の
CGムービー用BGMを作曲した時である。
そのときに使ったMacintosh版Notator Logic Audioには、
実はQuickTimeムービーの再生機能があって、
シーケンサー部分とSMPTEで同期することが出来たのである。
絵コンテを時間通りにつないで映像にしたものを
ガイドとして画面に表示し、
そのタイミングに合わせて作曲することで、
「双界儀」の時にはストップウォッチを片手に
計測しながら試行錯誤していた作業が、
ストレス無く行えるのは嬉しかった。
また、イベント用の音声台詞トラックを選別するのに、
シーケンサーと同期したデジタルレコーディング機能が、
大活躍したのも、付け加えておきたい。Pro Toolsほど
煩雑にならずに、手軽にファイル管理が行えたのは、
作業効率のアップにおおいに役立っている。

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